コース : 1日目 上高地~横尾~涸沢(幕営)
2日目 涸沢~北尾根~前穂~奥穂~ザイテングラード~涸沢(幕営)
3日目 涸沢~東稜~北穂~南稜~涸沢~横尾~上高地
メンバーも前回と同じ二人。すでに中高年と呼べる歳を重ねてはいるが、それでも何か目標に向かって挑戦したいという熱い思いを抱いて臨んだ夏山である。
8月に入ると空気が一変したように真夏の太陽が照り付ける毎日。しかし、台風の影響でお盆頃に崩れるという予報に計画を2日前倒して8日から山に入った。夏山シーズンとはいえお盆前の平日で上高地は静かだ。重荷を背負い黙々と明神~徳澤~横尾~本谷橋と進む。IHの足が限界に達する頃、ようやく色鮮やかな吹き流しが見える。涸沢ヒュッテで幕営手続きを済ませ、涸沢カールの眺望を肴に生ビールで乾杯!
テンバの良し悪しに頓着せず決めたテンバの寝心地は最悪だったが、疲れと酔いで睡眠不足は解消?…4時に起き、朝飯をたたき込み5時に出発。今日も快晴だ。すでに2パーティーがⅤ・Ⅵのコルへ向かったようだ。雪渓は固く氷化していて歩きづらい。軽アイゼンも持参してきたが、雪渓脇の踏み跡を辿ることにした。雪渓を先行していた単独行をやり過ごし6時にコル到着。朝日が飛び込んできた。これから始まる北尾根に浮き立つ心を抑え、一歩一歩慎重に登って行こう!
見た目難しそうなⅤ峰の岩稜も踏み跡がしっかり付いていてどんどん高度を上げる。Ⅴ峰からⅣ峰へ。数年前の群発地震の影響を受け、Ⅳ峰は崩れやすくルートファインディングも難しく隠れた核心部と言われている。涸沢側に巻くルートを選んだが、稜線へ戻る登攀は高度感も手伝って緊張した。稜線を跨ぎ今度は奥又白側へ巻く。斜度も増し緊張の連続!両手両足を駆使してⅣ峰を極める。
いよいよ北尾根で最も登攀要素のあるⅢ峰だ。ルートは事前学習で頭に叩き込んだもののやはり現場は違う。装備を整えHY先行でマルチ3ピッチで核心部を突破。ザイルを結ぶと安心感が増し登攀もスムーズだ。SHから借りてきたナチュラルプロテクションも見事に効いてくれた。Ⅲ峰からは前穂山頂の登山者がはっきり見えた。Ⅱ峰を懸垂下降し、ひと登りで前穂高岳山頂だ。山頂で握手を交わした。同じ目標を共有し、二人で時間を作っては練習に励んできた成果がこうして報われたことが嬉しかった。やればできる!
涸沢に戻り、寝心地良さそうな場所にテントを移し、再び居酒屋ヒュッテへ。生×2杯!いきました。
3日目は東稜から北穂を目指す。昨日の情報で上高地発のバスが17時最終と聞いて1時間早く起き4時出発。ヘッデン点けて黙々と高度を稼ぐ。南稜取付から大きな石の斜面を横切り東稜へ取り付く。稜線に上がれば素晴らしい眺望が待っていた。槍ヶ岳~大キレット、蝶ヶ岳~常念岳~大天井岳、その向こうに鹿島槍ヶ岳や白馬岳、転ずれば昨日登った北尾根~前穂がそそり立つ。あぁ~美しき北アルプスの山々よ、今日も最高の眺めをありがとう!
踏み跡を辿って岩稜を登り、ゴジラノ背と呼ばれる両側がスパッと切れ落ちた岩稜の手前でアンザイレンする。春の東稜を経験しているIHが先行でザイルを延ばすが、ランニングビレーの取り方が悪くザイルが流れにくい。ピッチを切り右往左往しつつも何とかHYをビレー。相当のタイムロスとなってしまった。2ピッチ目は核心部のナイフリッジでHYがリード。ビレーするHYが格好良く写真に収める。ゴジラノ背からの下降はザイルを使わずクライムダウン。ここから北穂の小屋までも四輪駆動で楽しい登りだった。小屋で炭酸飲料で乾杯し、先を急ぐ二人は北穂を後にする。昨日の北尾根、そして今日登った東稜を眺めながら南稜を下降。10時半に涸沢着。テントを撤収し重荷を背負う。17時までに上高地へ着かなければ今日中に帰れない。急ごう!
ところが、今日はお盆前の土曜日で登山者がどんどん涸沢に上がってくる。狭い登山道、登り優先とすれば、我々は待つしかないのである。それにしても凄い人だ。今日の涸沢は超満員だろう。2日前倒しは人込みを得意としない二人にも良い判断だったと思う。ヨレヨレになりつつ横尾に到着。足にマメができたようで一足毎に痛い。あとは惰性で…とはいかず急がないと間に合わない。歩く、痛い、歩く、痛いの連続した苦行だ。毎回同じ。なんでこの苦しい思いを再び味わうことになるのか?…痛い思いはすぐに忘れてしまうからなのか?!…いやいや、「痛くて辛い思い出」<「充実した楽しい思い出」という山岳方程式?が成り立つからだと思う。何はともあれ、16時45分に上高地に到着。あぁ~間に合った!!
最後に、パートナーのHYに感謝。そして温かく見守ってくれる山の会の先輩諸氏に感謝。
(記:IH)
目標に向けて、さぁ出発! |
河童橋と穂高…あの裏側まで歩くのだ。。 |
夏空と本谷橋...もうひと頑張りで涸沢だ |
涸沢ヒュッテ |
冬用エスパースで過ごす |
2日目、朝焼けの穂高を目指す |
Ⅴ・ⅥのコルからⅤ峰 |
Ⅴ峰を越えⅣ峰を見上げるHY |
Ⅳ峰の登り |
核心のⅢ峰、右の岩稜を登る |
奥穂の雄姿 |
フル装備でいざⅢ峰へ |
3ピッチ目をリードするHY |
SHから借りたギアも総動員 |
Ⅱ峰からの懸垂下降 |
満足の頂 |
前穂から槍ヶ岳 |
吊尾根から奥穂へ |
岳沢...上高地が見えた |
吊尾根から前穂北尾根...モデルは小6女子と親父 |
奥穂山頂 |
穂高岳山荘と涸沢岳 |
3日目、南稜取付から北尾根を望む |
東稜を目指すHY |
稜線から槍ヶ岳 |
ゴジラノ背核心部 |
北穂小屋が見える |
確実なザイルさばきのHY |
ゴジラノ背を振り返る...高度感抜群! |
北穂目指し東稜を詰めるHY |
北穂小屋で乾杯! |
前穂と奥穂を眺めながら南稜を下る |
南稜からの北尾根は美しい |
テンバ到着。撤収してさぁ帰ろう! |
長い帰路の始まり...さらば涸沢 |
やった‼️おめでとう🎉目標を定め、それに向かってのトレーニング、そして達成‼️何事も諦めずにやることの大切さを教えもらいました‼️
返信削除かっこいーーー!!
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