2015/10/29

2015.10.24-25 笛吹川東沢釜ノ沢

メンバー:NY MY IH SH TU SI
レポート:MY
フォト    :SI

奥武蔵の踏み固められた登山道とは違う、沢沿いの旧道を行く。足元が早くもよろけ気味だ。穏やかに澄み切った水の色。黒々としたスラブ壁と、秋色に染まった草付きや灌木の組み合わせの妙。脚力の無さにおののきつつも、初めて見る秋の溪の美しさに心を奪われてしまう。

私以外は不要なお助け紐やロープを何度も出していただいて申し訳なくて、でも来て良かったと思ってしまう絶景。山葡萄の蔓を思い切り引っ張って食べ頃の果実を摘んだIHさんとNYは、子供の頃に帰ったみたいだった。鮮やかな赤色の楓の葉がいつの間にか、色も重さも失ってカサカサ。標高が上がり、さっきまで極彩色の錦絵だったのが、唐松と常緑針葉樹のパターンで織り上げたタペストリーに変わっていた。

両門の滝から見上げた、ぽっかり開いた空間に風が吹き込む。唐松の細かい葉が吹雪のように舞った。テントの下はふかふかの落葉。NYの炙り焼き鳥、SHさんのキムチ鍋、TUさんのご飯で満腹。この夜、木枯らし1号が吹いたそうだが、SHさんの焚火のおかげで暖かく、話は尽きない。じき満ちそうな月が明るかった。

晴れていたので朝は冷えた。SIさんの豪華な朝食で元気が出たら、冷たい沢靴を履いて歩き出す。昨日より上がらない足。まだ日の射さない谷の中に唐松の落葉が散り敷いてセピア色。夕日と錯覚しそう。これから標高を稼がないといけないってのに。薄氷が張っている場所もあり、足がすくむ。待って下さる皆さんの優しさに甘え、SHさんのロープに頼って、ヨロヨロと進んだ。

沢を詰め、奥秩父主脈に上がると、冬みたいに冷たい風が吹き渡っていた。甲武信小屋のベンチに腰を下ろした時、心底ホッとした。パーティの皆様、力不足でご迷惑かけてばかりで申し訳ありませんでした。貴重な経験をさせていただいたことに心から感謝を申し上げます。







乙女の滝













山ブドウ












千畳の滑












両門の滝













ロープを出して












25日朝 凍っている












もう少し











ポンプ小屋脇に置かれたわらじ















甲武信岳山頂
















下山開始
天気がいいぜ

2015/10/17

2015.10.11-12 甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳

メンバー :SH TH
コースタイム:11日(日) 11:00長衛小屋キャンプ場  12:00仙水峠  
13:40駒津峰手前で悪天候のため引き返す 15:00長衛小屋キャンプ場  
12日(月) 4:30起床  5:40キャンプ場発  7:00大滝ノ頭5合目 8:10小仙丈ケ岳  9:15山頂  10:10馬の背ヒュッテ 10:55 大滝ノ頭5合目 
11:45キャンプ場着  

三連休の真ん中、日曜日は雨の予報だったが、甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳登頂に向けて土曜日の夜に出発し、11時過ぎに登山口の仙流荘に到着。雨の予報のせいか、まだ駐車場の空きが結構あり、ほっとする。夜中に予報通り雨が降り出した。

11日早朝もやはり雨。まだ、この位なら今日は甲斐駒ケ岳山頂まで行けるかな、と考えていたが、北沢峠に着くと雷雨並みの雨。20分ほどバス停のテントの中で様子を見るが、小降りになる気配すらなし。長衛小屋キャンプ場でテントを張るのもずぶ濡れになりながらの作業となる。この雨ですっかり登山の意欲はなくなり、止まない雨の音を聞きながらシュラフに包まり、朝寝。

11時前になってようやく雨が上がり、行けるところまで様子を見に出発する。途中、あの雨の中、登山してきた人々に会い、感心してしまう。上部は吹雪や雪で強風だったそうだ。仙水峠では摩利支天が眼前に大きく見えていたが、その後は黒い雲に覆われてしまった。駒津峰まで行って北沢峠回りで下山、と考えていたが、稜線に出るや、すごい強風で体勢維持のため足が止まるようになり、駒津峰手前で引き返した。
夕食のカレーを食べて18時前には就寝。

12日。この日は前日の悪天が嘘のような雲ひとつない晴天。登り始めてまもなく、森林の向こうに白く輝く北岳が顔を覗かせていた。登山道は歩きやすく、快調に進む。

小仙丈ケ岳直下からは周囲の山並み、遠くに街並みも見え、眺望が開けてきた。ここからは昨日降った雪が数センチ残っていてきれいだ。登山道は滑りやすくなっているので、慎重に登る。
小仙丈ケ岳からは北岳の左に大きく富士山もお目見えし、目指す山頂方面もくっきり見えて気分がいい。
この先、アイゼンが必要になったらどうしようかと思ったが、心配無用であった。あまり休むことなく、歩いたせいか、予定したよりずいぶん早めに山頂に到着。三千メートルを越す山は、秋から冬へと変わりつつあり、風が冷たかった。記念写真等を撮って早々に仙丈小屋まで下る。ここからの下りでは雪はなく、馬の背ヒュッテから大滝ノ頭にトラバースして来た道を下山。思いもかけず、雪のある仙丈ケ岳に登ることができて感動の1日となった。
帰りのバスの窓からくっきりと甲斐駒ケ岳と鋸岳への稜線がよく見え、途中の紅葉も素晴らしく秋のいい1日を過ごせた。

 仙水峠へ向かう途中の紅葉
 仙水峠から見る摩利支天

栗沢山を見る

 北岳が顔を出している

 甲斐駒ケ岳

小仙丈ケ岳への登山道から下山で通る馬の背ヒュッテを見る


 うっすらと雪化粧した小仙丈ケ岳

 眼の前の山を越えれば、山頂は近い


 甲斐駒ケ岳の奥に八ケ岳

 山頂手前の稜線から真下の仙丈小屋

 山頂まであとひと登り、感動の時がもうすぐ訪れる

 山頂の看板の裏には氷が数センチ張り付いていた

 仙丈小屋付近から山頂方面を仰ぎ見る

仙丈小屋のベンチから見る甲斐駒ケ岳

下山途中から見るこの景色もきれいでした
泊まってみたい馬ノ背ヒュッテ

長衛小屋の後ろに白く輝いて「いるのは摩利支天



2015/10/14

2015.10.12 大源太川北沢本谷

メンバー:IH TU KK MW(ゲスト)
コース   :登山口~ムラキ沢出合~三俣~大源太山~登山口

帰路、IHから借りた大好きな浜田省吾のCDが、車内の中に流れている。心地よい疲労感と、綺麗な紅葉、そして素敵な仲間と過ごした一日が秋風の中に溶け込んでいった。

4人それぞれが、いろんなものを抱えながら今の生活を営んでいる。だが、渓と戯れる今日一日は、そんなことは考えずひたすら頂きを目指すのである。

事前の悪天予報はいい方に裏切られ、朝早い空には星が瞬いていた。埼玉からTUとWさん。20年数年来の仲間血液型BのIH。楽しい山行になりそうだ。林道終点には2台の先客あり。身支度を整え出発。整備された登山道をムラキ沢出合へ。北沢に足を浸けると冷たい。今日は濡れたくない。小さな滝をたくさん登る。私達にはちょうど手ごろなレベルで、ロープの練習にもなった。滑りそうなぬるっとした岩に、一歩がなかなか出ない。奇声と激励が飛ぶ。

三俣に到着。右から七ツ小屋沢、真ん中に見晴台ノ沢。我々は左の北沢。取り付きのリッジをやり過ごす。もう少し上の灌木帯まで入れば良かったが、手前で落口に向かったためちょっと苦労する。抜けた狭い谷の向こうに、紅葉に包まれた山頂付近が見えた。青空と錦繍の斜面が織り成す景色に溜息が洩れる。

渓は急にその水量を落とし、徐々に高度を上げていく。最後は左俣にルートを取り、スラブをよじ登れば登山道に出る。稜線に出ると越後の山並みが一望。いつもは逆から見る巻機山が優美な姿を見せている。「山頂に行くしかないでしょう」とTUに励まされて、重い足を運ぶ。山頂からは更に景色が広がり、冬我々がフィールドとしている山域が全て見えるようだ。来季をあそこを登って、あの沢を滑り、登り返して……。想像しただけでもうワクワク。

のんびり過ごした山頂を後に下山。ぺちゃ、ぺちゃおしゃべりをしながら下り、あっという間に北沢の出合に着く。一日もった晴天に感謝する。旭原から仰ぎ見る大源太山は、きりっとして立派だ。山を見ながら充実した一日は、IHの明るい笑顔のおかげだったかもしれない、そんな気がした。






北沢出合
水量は少なめ










渓の向こうは日が当たり暖かそう













4条の滝
滝登りは楽しい











ほれ!おまえさん
足を上げらっしゃい!











三俣に到着












七ツ小屋沢の見る
IH何を思う











左俣のスラブ
快適











稜線から心の山巻機山












山頂からは更に谷川方面








2015/10/03

2017.9.19-9.23 黒部源流

メンバー:SH TU SI
コース   : 飛越トンネル~北ノ俣岳~黒部五郎小屋(幕)~祖父沢出合(幕)~
                祖父沢~雲ノ平~祖父沢出合(幕)~赤木沢出合~赤木沢~(幕)~
                北ノ俣岳~飛越トンネル

シルバーウィーク、初日以外は晴天に見舞われ、素晴らしい景色を堪能した。連れて行ってくれたSHさん、TUさん、お休みをくれたKKさんに感謝です。

前夜富山周りで飛越トンネルを目指して出発。飛越トンネルに行くのはSHさんも初めて。真っ暗な山道を右往左往しつつなんとか到着。ここで迎えに来てくれたTUさんとすれ違いのアクシデント。

(9/19)
おおよそ13時間歩きづめの日。朝から小雨。北ノ俣までの山道はぬかるみ。晴れていても足元は悪いらしい。北ノ俣岳手前で雲海を抜けると晴天。ここから黒部五郎小舎までが長く、果てしない道のりだった。小舎に着き、暗くなってからのカレーライスは美味しかった!
 
北ノ俣岳への登り
 
急登を終え軽い足取り
 
 
 
稜線西側は雲海
 
五郎の肩からカールを見下ろす
 
(9/20)
TUさんは朝早くから写真撮影へ。残った二人はゆっくりと行動を開始。朝から天気が良い。沢の中では、慣れたフェルト靴でないことと昨日の疲れが残り、転ぶ。あっという間に二人の後ろ姿が見えなくなり、追いつくのも諦める。転がる岩が大きくて、流れる水が深く冷たい。お昼に作ってもらったそばが美味しかった。
 
 
 
 
(9/21)
TUさんは居残りで、SHさんと祖父沢から雲ノ平を目指す。大岩をえっちらおっちら越えていく。追いかけるのが精いっぱいでほとんど覚えていないが、アスレチックみたいな沢だった。幕場に出て雲ノ平の小屋までが意外に遠い。どうも利用者が多かったようで、小屋でビールを売ってもらえず、SHさんの肩が見るからに落ちる。黒部源流の水が豊かだった。
 
(9/22)
テントを畳んで出合へ出発。赤木沢の出合は水底が深く、色が美しい。いつまでも見ていられるが、、いつまでも見ていられないので赤木沢を登る。高巻の足元がガラガラしておっかなかった。源頭に出るとクロマメノキがサワサワ生えている。SHさんの野生の血が目覚める。見てはいけないものを見てしまった。
 
朝から一日快晴
 
 
赤木沢出合上部
 
同下部
 
 
一息
 
 
 
源頭付近
 
師弟の息はぴったり
 
一面のごちそうに四つ脚の性が覚醒
 
(9/23)
早朝テントが凍っていた。バリバリ音がする。凍った靴に足を突っ込むのが辛い。5日目、だいぶ疲れていたが、歩かなければ帰れない。朝はまだ天気が良い。空気が澄んで今まで自分が廻った沢が見える。見下ろせば池塘が秋の陽気を反射して煌めいている。赤木沢で拾った「ステッキ」を杖にし、なんとか下る。晴天が続いていたせいか、帰りの飛越~神岡新道は歩きやすい。車が見えるとほっとする。
 
 
夜も快晴で冷え込む
 
池塘にうっすら氷
 
 
 
 
 
ルートを振り返る
 
SIはテント泊も初めて、沢泊も初めて、連泊も初めて。ちなみに北アルプスも2度目だったわけです。連れて行ってもらえたことに感謝です。貴重な体験もそうですが、北アルプスの水の豊富さ、美しさに驚きました。まだなんか疲れなのか、魅入られたのかぼうってしてますが、また機会があれば行きたいと思いました。