2016/08/21

2016.8.11-15 大井川東俣(池ノ沢下降)~間ノ岳~北岳

コース:奈良田~大門沢~広河内岳~池ノ沢池(8/11泊)~
   大井川東俣(8/12泊)~二又(8/13泊)~農鳥沢~
   間ノ岳~北岳山荘(8/14泊)~北岳~広河原

池ノ沢池全景
南アルプスへ向かおうと思い立つも土地勘なく勝手分からず。某小屋番に静かで長く歩けるルートはないかと問うたところ、このコースを提案してきた。これまで某小屋番の話に乗って痛い思いをしたことは枚挙に暇がないが、南アルプスの最奥を辿る本ルートはなかなか魅力的であり、問題となる箇所も特になし。初日の広河内岳越えが長く標高差も大きいものの、以降はゆっくりと時間を掛けて大井川源流を味わう方向。

奈良田からの大門沢の登りでは、下山してくる登山者、特に学生の山岳部と思しき若者たちと多くすれ違う。自分はなぜビールをはじめとした酒類を後生大事に背負っているのだろうという疑問を振り払いつつ、這々の体で大門沢の下降点へ。南方の塩見岳や悪沢岳を眺めつつ広河内岳に至り、そこで大休止。あまりにくたびれたので視野の中にいるであろう某小屋番に苦情のメールを送信。あるいは苦情の文面を装った、久方振りの充実感の表明とでもいうか。
池ノ沢源頭のがれ場とハイマツ帯を過ぎると、矮性のダケカンバと草本の林床からなる明るく開放的な谷筋に至る。さらに下れば左岸から冷たい水が染み出す。水流の周辺には苔が繁茂。ここまで登山道を2000m登り、枯れた沢形を下り続けてきた身には、美味いことこの上なく、飲むごとに全身に水分が行き渡るのが分かる。

その少し下流で伏流していた水が突如沢筋として顕在化し、池ノ沢の始まりとなる。さらに下れば谷は広がり傾斜は緩み、木立の向こうに穏やかな水面が見えてくる。
2014年10月号の岳人誌で、池ノ沢池を服部氏が紹介しているが、そこで使われている池の写真は取材時ではなく10年以上前のもの。彼によれば池はずいぶんと土砂に埋まって雰囲気が変わってしまい、往時の美しさも影を潜めており拍子抜けしたとのこと。彼にとっての池ノ沢の池は当時のものだということを暗に示すため、あえて昔の写真を採用したのだろう。絶えず地形は変化するが、現在はこの池が埋まりなくなる過程を見ているのかもしれない。

池ノ沢源頭のがれ場



※360°パノラマは全画面表示を推奨

ハイマツ帯をいくつか過ぎるとダケカンバの疎林。


斜面から染み出す水がうまい。




止水なので水温はぬるめかと思ったが、沢水と同じくらい冷たい。本流の伏流水が染み出しているのと枝沢の流入のためか。裸足で入ると足が痛い。


池より下流の池ノ沢は徐々に荒れ出し、倒木や斜面崩壊により踏跡も度々途絶える。やがて傾斜が緩み広い段丘に入ると池ノ沢小屋。中はかなり薄暗いが、意外に整備されており屋内も小ぎれいな印象。
ようやく大井川東俣。広い河原とおだやかな河岸段丘の中を流れ、いかにも南アルプスといった印象。索道跡や廃ワイヤーはずっと奥まで残っており、これまた南アルプス的。試しに滝ノ沢に入ってみると、急激に標高を上げた先に立派な滝。東俣本流の魚止ノ滝より数段見栄えがする。

池の下流の倒木地帯

池ノ沢小屋
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小屋内部。実際はもっと暗い。


東俣本流


滝ノ沢のF1





徐々に傾斜を増す東俣は魚止ノ滝を越えると再び平坦になり、泊まり心地の良さそうな河岸段丘がしばらく続く。疎らな木立とイチゴなどの草に覆われた段丘はここで寝てくれと言わんばかりだが、なんとか我慢して予定の奥の二又へ進む。この辺りからイワナの魚影を多く見かける。適度な深さの淵が連続するためか。
倒木地帯を越え、イワナの姿も見えなくなった頃、三国沢と農鳥沢の二又に。頭上は大きく開け、三国沢の先には間ノ岳も。多くはない平坦箇所を幕場とし、昼からアイラモルトをちびちびと。流星群撮影の段取りを練るも、この日も夜は曇天。

魚止めの少し下



魚止ノ滝




滝の上流。すばらしい宿になりそう。


倒木地帯

二又が見えてくる


朝の二又。


農鳥沢に入り、水が枯れ、少しの藪をこぐと開けたモレーン状。トラバース道に出ようとしたが、どうも地形図と道の位置が違うような感じ。急斜面を適当に這い上がり登山道へ。
間ノ岳から大井川源流の山と谷を眺め、あとは広河原の生ビールを目指して歩くのみ。




農鳥岳方面

八本歯のコル方面

間ノ岳方面

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