TS、SI
【コースタイム】
初日
0930 栂池高原スキー場
1020 天狗原
1110 白馬大池
1240 船越ノ頭
1330 小蓮華山
1510 三国境
1630 白馬岳
1700 白馬山荘
二日目
0720 白馬山荘
0830 鉢ヶ岳鞍部
1030 雪倉岳
1200 瀬戸川渡渉
1300 蓮華温泉
三日目
0610 蓮華温泉
0900 天狗原
0940 栂池高原スキー場
0950 下山完了
【ルート概要】
初日 : 栂池高原スキー場 → 小蓮華山 → 白馬岳(白馬山荘)
二日目 : 白馬山荘 → 柳又谷源頭 → 雪倉岳 → 蓮華温泉
三日目 : 蓮華温泉 → 振子沢 → 栂池高原スキー場
待ちに待ったGWの山旅。
今回はSIさん(非会員)と一緒に北アルプスへ。
目的は山スキーのクラシックルートとして昔から滑られている
柳又谷(やなぎまたたん)と雪倉岳をつなぐルートである。
ちなみに谷のことを「たん」と呼ぶのは富山の方言であり、
剱岳の「長次郎谷」や「平蔵谷」は有名である。
元々の計画では猿倉から白馬大雪渓を登るつもりであったが、
4月末に大雪渓での雪崩によって不明者が出たばかりだし、
当日の天気予報を見ても気温が高いようであったので、
栂池から小蓮華山を経て白馬岳へ至るルートへと計画を変更した。
また、出発地が猿倉であれば船越ノ頭周辺から
金山沢を滑って馬蹄形縦走できるが、
栂池に戻る必要があることから金山沢の滑降もナシ。
来シーズンの課題にしよう。
さて、初日。
栂池高原スキー場につくとBCスキーヤーだけでなく、
まだまだ滑り足りないスキーヤーやボーダーで賑わっている。
山頂までの片道切符を買い、ゴンドラとリフトを乗り継いで山頂駅へ。
「ゲレンデの雪がほとんどないので、下山は大変かもしれません。」
「往復券を買うことをお勧めします。」
とリフト券売り場の方に言われるが、
雪が少ないだけならどうにでもなるっしょ!とリフトに乗り込む。
スキー場上部から天狗原へ登ると大雪原が広がっていーい景色!
純白の雪原が青空に映えるね!
天狗原から白馬乗鞍岳へ直登 |
白馬乗鞍岳のピークを踏み、雪で完全に覆われた白馬大池の脇を通り抜け、船越ノ頭から小蓮華山を目指す。
この後、十数回も板を担ぐ羽目になるとは 知る由もないのであった |
人の歩いている所が白馬大池の真上 |
雪庇が崩れてアッカンベー |
船越ノ頭から小蓮華山や白馬三山を望む 大雪渓には杓子岳から幾筋もの雪崩跡が |
三国境から白馬岳へ続く稜線を仰ぐと、
大きな6連のピークがこれでもか!と続いており精神的に萎える。
雪が途切れ途切れなのでかなり頻繁に
スキーを履いたり脱いだりしなければならず、
一つ一つの登りもエグかったので結構疲れてしまった。
初日は白馬山荘に宿泊。
杓子と鑓 |
おいしい夕食に舌鼓を打ち、ビールを飲みながら談笑も弾む。
テレビではバラエティー番組が流れており、
ストーブの焚かれた館内はとても暖かくて快適だった。
二日目。
朝食のために起きた5:30頃はすっきりとした青空が広がっていたのだが、
放射冷却と強風のために雪面はガチガチの状態。
雪が緩むまでしばらく待っていたら、瞬く間に雲が高度を下げてきて、
辺り一帯はすっかり白い世界になってしまった。
さっきまで見えていた杓子岳や鑓ヶ岳はおろか、
すぐ目前にある旭岳さえ見えなくなる始末。
「あ~あ…、さっさと出発するべきだったか」
しかし、滑降していく柳又谷源頭はかろうじて視界を保っており、
急いで山荘を出発する。
柳又谷源頭 |
白馬山荘から旭岳へのコルへと降り、北斜面(柳又谷源頭)を見下ろす。
「おおお!日本離れしたすげぇスケールの大斜面だ!」「雪は固いが行くしかない!」
底まで滑っていきたくなる |
雪質はお世辞にも良い状態とは言えないが、
素晴らしい景色を堪能しながら鉢ヶ岳目指して滑っていく。
調子に乗って高度を下げすぎると登り返しで苦労するので、
トラバース気味に移動して三国境と鉢ヶ岳のコルを乗っ越す。
振り返ると、白馬岳山頂や朝日岳付近は雪煙のような白いガスが
猛烈な勢いで吹き荒れており、
早めに出てきてよかったと胸をなでおろした。
そこからは鉢ヶ岳の東面を大トラバースして雪倉岳を目指すが、
稜線上の雪庇が崩壊して発生した大きな雪崩跡があってビビる。
序盤のうちにできるだけ大きく登り、
トラバース気味に一気に滑り降りて通過した。
雪倉岳への稜線歩きは雪が途切れているのでスキーを担ぐ。
空も徐々に明るさを取り戻してきた。
雄大なり、雪倉岳 |
ハイマツから飛び出してきたライチョウが何度も振り返りながら
我々を先導してくれたおかげで楽しく登ることができた。
今回の旅では10羽以上のライチョウを見かけたが、
みんな人間を恐れていないのか、すぐ近くまで寄ってきては
テクテク歩く愛嬌のある姿を見せてくれた。
ハイマツからひょいと飛び出してきた |
かわええの~ |
まるまると太った可愛いフォルムを見ると、
思わず両手でわしっと抱きかかえたい衝動に駆られるが、ガマンガマン…
雪倉岳への登り 写真中央奥のコル(柳又谷源頭)から 約3時間弱でここまで来た |
雪倉岳山頂に着くと、ついに朝日岳と日本海が姿を現す。
空は快晴!360度の大展望!
う~ん、素晴らしい…そして美しい!
蓮華温泉から登ってきたスキーヤーたちも一堂に会して
山頂はにぎやかだ。
さて、ここからは本日のハイライト。
雪倉岳東面の大斜面へ落ちていくのだ!
遥か下に登ってくる人が二人 |
右上にSIさん なんて広い斜面だ! |
空は晴れ渡り、遮るもののない大展望、
そしてどこまでも続く甘美なスロープ。
山スキーヤー冥利に尽きるってもんです。
あぁ、生きててよかった!
瀬戸川に向けてひたすら滑っていく |
うーん、マンダム! |
小さな尾根を乗っ越すことでクリア。
雪の少ない年は渡渉に苦労するらしい瀬戸川も、
今年はたっぷりと雪が残っていたおかげで簡単にわたることができた。
巨岩がゴロゴロしているので雪がなければ 渡渉はかなりキツそうだ |
沢の下部は所々クラックが入って危ないので、
慎重に下りていく必要あり。
滑り終わって振り返ると、まるで雪崩の巣のような
なかなかエグい沢だなという印象を受けた。
そこからは明るい森の中をひたすらトラバースしていく。
もう疲れた~、トラバース飽きた~などと愚痴りたくなるころ、
ようやく蓮華温泉が見えてきた。
山スキーヤーのオアシスに到着 |
朝は遅めの7:20に出てきたのに、
13:00には行動を終えることができて安堵。
真っ昼間からカレーとビールを楽しみ、温泉で汗を流してさっぱり。
蓮華温泉が多くの登山者から愛される理由が、よ~くわかりました。
その後もおだやかな陽気が降り注ぐ部屋で昼寝をしたり、
朝日岳を見上げながらビールを飲んだりして
思い思いの時間を楽しんだ。
三日目。
この日は昼から大荒れの予報で、
気温も高いために高い山でも雨が降るという予報。
予報によると12時くらいから降り始めるということであったが、
小屋を出た6時からすでに叩きつけるような
強い雨が降っていてゲンナリ…
蓮華温泉から天狗原へは夏道ではなく、
振子沢という傾斜の緩い沢を詰めていくのがこの時期のメジャールート。
強い雨が降ったと思ったら急に青空が広がったりして、
目まぐるしく天候が変わっていく中、複雑な地形を呈する沢を登る。
大きく蛇行する振子沢下部を登る |
上部に行くにしたがって広くなっていくが、
ところどころに赤布が着けられているので迷うことはなかった。
いよいよ天狗原への最後の登り差し掛かったころ、
バチバチバチッ!と強烈な氷雨が全身を激しくたたき始めた。
振子沢上部はだだっ広い台地状 傾斜の緩いところをつないで登る |
目を細めながらなにくそと登り続け、
ようやくだだっ広い天狗原に到着するも、視界不良で達成感皆無。
コンパスとGPSで方角を確認してスキー場へと下った。
スキー場ではなおも冷たい雨が降っていたが、
アメニモマケズ、たくさんのスキーヤーがすべっていてびっくり。
ゲレンデ下部の雪は完全に消えていると思っていたが、
スキー場が人工雪を降らせてくれていた(?)のかはわからないが、
人ひとり分がかろうじて滑ることのできる雪道が細く長く続いている。
雪の回廊で一気に下山! |
雪の回廊はゴンドラ中腹駅までで終わっていたが
ゴンドラに乗らないと下山できないのか?
やべー、下り分のチケットは買ってなかったなと思ったが、
リフト乗り場の係員に聞くと
下山のゴンドラは無料で乗せてくれるようだ。
おお!なんとありがたき忖度!
無事下山完了して車に道具を積み終わった時、
待っていたかのように豪雨が降り始めた。
最終日こそ悪天候に終わったが、初日と二日目は天気にも恵まれ、
トータルで見れば大成功の山旅であった。
今回歩いたルートの周辺にはまだまだ素晴らしい斜面が
たくさんあり、北アルプスの懐の広さを思い知らされた。
これからも安全第一で楽しみたいと思います。
急な誘いにもかかわらず同行してくれたSIさん、
本当にありがとうございました。
お、兼用靴が新しくなってるような・・・?
返信削除どうしても合わなかったので買い替えちゃいました。
削除新しい靴も微妙ですが…
越後の藪山からメジャーデビュー!雄大ですなあ。マンダムですなあ。
返信削除雪倉からの下りはめちゃくちゃマンダムでした。
削除来シーズンにまた行きたいと思います。